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資産運用 (お金のこと)

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マリーゴールド

 お金のことを勉強したのはいつ頃でしたか? 社会の仕組み、経済や経営について学べる環境かどうかは家庭の金融リテラシーと深く関係があります。三世代同居であれば戦後のハイパーインフレ、高度経済成長、石油ショック、バブル景気と崩壊、様々な経済事件の生の話を聞くことができると思います。両親からのみだと生前の祖父母などの古い話は体験はなく伝聞になりますがそれでも貴重な話です。お金の話をすると嫌がられる、そもそもお金の話は避けてきたという家庭も少なくないと思いますがどのように考えてどのように行動したから今があるのかを聞くことが一家の経済状況に合わせた資産運用につながります。
 世界が大きく変化して、社会的な変化が起きると産業構造に不可逆な変化をもたらします。大成功していた業種が衰退することもありますが、衰退せずに勢力を保っていることもあります。
 周囲から直接聞くことのできるお金の話以外にも、学校の教材や動画サイト、金融機関の資産運用セミナー、儲け話をまとめたWebサイトやSNSなどさまざまな情報源があります。私は金融庁、金融機関といったオフィシャルな資料から、理解できる範囲でお金の勉強を始めることをおすすめします。
 インターネット上には金融機関以外にも様々な企業や団体、人々がそれぞれの思惑でポジション・トークを展開しています。本来競争相手になるかもしれないのになぜ教えてくれるのでしょうか? 教えることによって市場参加者が増え、自分たちの利益につながるということが理由です。個別銘柄を推奨するのは特定の企業のの値上がりを狙っていて、高値で買わせようとしています。事前に買い付けておいた株を売り抜け、時にはカラ売りも行って利益を増やします。為替、貴金属や原油などの資源も同様の構図があります。早い段階で情報を得られれば儲けの分け前が得られることから、自分も勝ち馬に乗ろうと著名な個人投資家の人と同じ銘柄を売り買いしていくコバンザメ戦法もあります。投資グループを形成して相場を動かそうという
 1つの情報源を鵜呑みにするのではなく、公的機関が発行する情報も収集してきちんと判断できる知識を身につけてほしいと思います。歴史的な出来事と資産運用についての関係を後世の視点で学ぶと、繰り返される歴史と変わっていくだろう歴史を知ることができて私は未来を予想する際の参考になると考えています。
 資産運用するうえで、衝動的に売り買いしてしまって損失が広がってしまうことによって再起不能なほどの大損をしないようにすることが最も大切です。最低限必要な生活資金までも投入して失ったり、借金を背負ったりすることです。
 米国の子供の自制心と将来的な成功についての心理学実験「マシュマロ実験」というものが知られており、待てずに食べてしまった子供たちと15分待ってもう一つ多くもらった子供たちのグループでは、その後の調査で大学進学適性試験(SAT)の点数に相違が出たことが分かっています。再実験では被験者の数を増やしたところ、被験者の経済的背景と相関が高く、長期的成功の要因としては「2個目のマシュマロを手に入れたかどうか」よりも被験者が経済的に恵まれていたかどうかの方が重要であったことが示される結果が出ています。我慢強いことよりも恵まれた環境で優れた教育を受けたほうが成功すると考えられています。
 一般的な人の心理として短期的な儲けを志向しやすい傾向があり、ギャンブル依存症やショートターミズム(Short Termism、近視眼的経営)と名付けられています。ギャンブル依存症ではギャンブルはすぐに結果が出ることで勝ったときの高揚感、負けた時の損を取り戻そうという志向のサイクルによって更にのめりこみやすいような仕組みがあります。為替相場では取引をすればするほどゼロサムゲームで勝者と敗者の総和がゼロに向かうので最終的には元締めに取られる手数料で参加者全員が敗者になります。ショートターミズムは雇われ経営者が長期的な価値の増大ではなく、短期的なしかも一過性の利益を追ってしまうことです。経営再建をしようと新規事業に手を出して失敗するような事例は無数にあります。経営コンサルタントを雇った場合でも同様の傾向が見られます。研究開発や設備投資などの長期的プロジェクトよりも、短期的に利益を上げられるプロジェクトに投資します。企業買収・売却が主な事例です。買収した企業の業績を連結するので決算の数字を大きく見せられます。
 2024年からの新NISAでは適用期間が無期限になり、長期投資を行おうとする人が増加することが見込まれています。私は自分の老後やその先の後世に何が遺せるかを考えて資産運用をしていくことの重要性がより高まってきていると感じています。

お金のことを基礎から学ぼう
金融ガイド 金融庁が配布・公開している中高生向け「基礎から学べる金融ガイド」が家計管理や生活設計の必要性、預貯金・保険・クレジット/ローン・投資に関して最低限知っておくべきことを網羅していて入門教材としておすすめです。
金融リテラシー講座 主に高校生向けに、家計管理とライフプランニング、使う、貯める、増やす、備える、借りる、金融トラブル のテーマごとに動画で解説した授業形式の動画です。家計管理、ライフプラン、資産形成、借金に関するシミュレーターについても紹介されています。
預貯金 預貯金は預金者が預けたお金に対して、金融機関が定期的な利息の支払と将来の元本の支払を保証している金融商品です。基本的に預入先の金融機関によって元本保証が行われます。民間銀行にお金を預けることを「預金」といいます。2007年10月1日に実施された郵政民営化以前に、郵便貯金法に基づき、日本政府(駅逓局・逓信省・郵政省・総務省郵政事業庁)・日本郵政公社が行っていた貯金の受入れ事業は、現在はゆうちょ銀行(旧:郵便貯金)となっていますが、「貯金」と呼んでいます。JAバンクも「貯金」です。
投資 利益を見込んでお金を出すことを投資といいます。お金を出す方法、出し先は多種多用で、様々な投資商品があります。金融商品では株式や債券、投資信託などを購入することです。土地や建物に投資する不動産投資にはすべて自己で所有する一棟買いという手法から分譲マンションなどの区分所有権に投資する手法、投資家を募って共同所有して小口投資する方法などがあります。航空機、船舶、自動車等を購入・所有し、運輸会社へ貸し出すことで収益をあげる動産投資もあります。これらの従来からある投資先・手法に加えて新しい投資商品として暗号資産(仮想通貨)、NFT(Non-Fungible Token 非代替性トークン)といったデジタル資産への投資もあります。新しい投資商品と混同しやすいのが情報商材の販売です。儲けの手法が書かれた文書、ソフトウェアなどをUSBメモリに入れて販売するような商品で最初にローンを組んで購入させられた後に自身で他者へ売って儲けるというマルチまがい商法や詐欺の一種です。有人・知人を巻き込んで信用を失うことになります。それぞれ被害者と加害者の両方になることから社会問題になっています。
保険 偶然に発生する事故によって生じる財産上の損失に備えて、多数の者が金銭を出し合い、その資金によって事故が発生した者に金銭を給付するための制度です。病気やケガ、死亡、事故などの不測の出来事、火災、台風や地震などの自然災害、第三者への損害賠償などに備えます。生命保険の保険料を所定の期間継続して月払いして、満期払い戻しや死亡保障を受けることから投資信託に近い性質があります。保険には税制上の優遇があります。生命保険の場合には年間の所得控除と相続税の保険金控除(死亡保険金の非課税金額は500万円 X 法定相続人の人数)があるので節税効果があります。

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中高生向け 金融経済教材 [金融庁]

金融経済教育プログラム [日本取引所グループ]



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更新履歴

2023年5月17日 作成(執筆:SENRI)

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