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ビジネスを立ち上げる

 ビジネスを立ち上げるための方法について書かれた本やWebページは無数と言っていいほど大量にあります。将来事業を開始することを「起業」として、新しく事業を起こすことを「創業」といい、それぞれ区別することがあります。すでに事業を行っていて新しい領域を増やす場合に「新規事業を立ち上げる」と言ったりします。

創業のプロセス
準備 事業計画書をしっかり作って立ち上げしたほうが資金調達をする際には有利です。起業支援金や補助金の申請には必須です。なお、支援の条件に地方創生、社会課題の解決、過疎地域の振興といった政府や自治体ができないことを条件に絡めている場合には利用しないほうがよいかもしれません。自治体の支援制度は定住者を増やしたり、地域の雇用促進をする目的であるため、対象とする事業が限られています。
アイデアを思いついたなら変革期のチャンスを逃さないために勢いで創業すべき時もあります。今から振り返るとインターネット創世記(1995年に民間解放・商用化)から続くIT企業の繁栄、超巨大IT企業(GAFAM:Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft)が世界の株式時価総額10位以内にランクインしていることなどを見るとスケールしやすいデジタル事業は綿密な事業計画よりも行動してチャンスをつかむべきという意見にもうなづけます。2001年頃にはじけた米国のドットコム・バブル、日本ではITバブルが同時期にはじけたのですが日本では20年近くコロナ禍まで停滞してしまったのに対して、ドットコム・バブル崩壊を乗り越えたGAFAMを始め、世界の多くの国々では一時の低迷を乗り越えてIT企業が成長を続けています。日本では世界と比べてIT投資が相対的に少なかったことが影響していますが、それでも30代で時価総額ベースで資産が100億円を超えた上場企業を創業した人が数十人出ています。ビジネスマンの長者番付を見るとお名前に「太」「史」が入っている方が目立ちます。
事業領域の選定 ヒト、モノ、カネの各リソースに乏しい創業時には対象となる事業領域の絞り込みが重要です。旬の成長領域へのアプローチのタイミングを逃さないように創業者の持つ高いモチベーション、創業時の勢いを大切にします。高収益を上げて利益を再投資するか、収益性や成長性の実績をもとに融資、出資を引き出して事業を拡大していきます。
ビジョン 商品、サービスの提供をしていく上で軸となる考え方、展望が非常に重要です。既に似た事業をしている企業とはどのように違うのかを明確にします。
届け出 開業届を提出し、必要な許認可申請を行います。申請は業態によって異なります。帳簿の記帳、納税などの義務も生じるので税理士への依頼や会計ソフト・クラウドサービスの利用などを行います。
資金調達 先進的なアイデアや技術はその時点では価値を正しく評価されない、だから借金も難しいと考えておくべきです。銀行からの借り入れは困難です。経営者の事業への情熱、実績、将来性を示す資料を作成して、ベンチャーキャピタル、投資家から出資という形で資金を調達します。資金に応じて株式を渡すので創業者が持つ株式が希薄化します。将来上場した時のキャピタルゲインが減ります。追加の出資を受けると出資者の議決権が増えて役員のポストや株主提案を受け入れなければならなくなることもあります。経営アドバイスという形で口出しされておかしくなることもあります。
ちなみに銀行からの借り入れは賃貸アパート1棟で安定的に利益を出したり、飲食業で1店舗繁盛させて利益を出したりして、同形態でもう1つ拡大するための資金のような再現性が高い場合には借金をしやすいです。
事業運営 事業を始めてからもさまざまな課題が発生します。海外ではサクセスストーリーをもとにしたドラマやリアリティ番組が沢山あるので、乗り越えて上手くいくように思うかもしれません。ほとんどの場合において、自分たちでやらなければならないのです。
株式上場(IPO)を目指す 自己資金で創業した場合には上場益をすべて手中にできますし、非上場の選択肢もあります。ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達をしたり、メンバーにストックオプションを付与していた場合には上場して利益をもたらすことは責務です。
連続起業 米国では創業した企業が上場し、軌道に乗ったら自らは創業者兼会長へ上がり、上手に安定的に経営することができるように経営陣を招聘して社長を任せる手法が取られるようになりました。
日本では1社上場できても成功者として生活に困らなくなることから、遊興に夢中になったりして事業への意欲が低下しているケースがしばしば見られます。

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更新履歴

2023年5月12日 更新(執筆:SENRI)

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